伊藤若冲(1716–1800年)は、今も活気ある京都の錦市場で、野菜を扱う大きな青物問屋に生まれた。40歳で家業を弟にまかせて引退し、絵に専念する。若冲を突き動かしていたのはもうけではなく、深い信仰心と絵画への情熱だった。仏教の一派・禅宗を熱心に学び、また、自然を徹底的に観察することで動植物の生命力までも描き出して、唯一無二の作風を打ち立てた。東洋美術史上に輝く花鳥画の傑作を数多く生み出し、2012年には米国ワシントン・ナショナル・ギャラリーで「色彩あふれる世界 伊藤若冲の花鳥画」展が開催され、代表作の《動植綵絵》全30幅が展示された。