日本は海に囲まれた島国であり、人々は古来、海の恵みを生活の糧としてきた。江戸時代の画家は、水中の生き物も、生息する自然環境とともに描こうとした。透き通った水をありありと描写するのは難しいが、絵の中で本物の魚が泳いでいるかのような表現を探求し、さまざまな描法を編み出したのだ。
画面の中に巧みに余白を残すと、水中の奥行きや広がりを演出できる。また、余白があることで、海藻の群生や淡いにじみ、たゆたう水の流れを連想させる柔らかな筆遣いといった要素が引き立つ。そして、何より説得力を持つのが、自然科学的な正確性を備えた描写力である。画家たちは、重力から半ば解放されて泳ぐ、水中の生き物のたくましい姿をありありと描き出した。